デューラー展 ドイツ・ルネッサンスの巨匠

アダムとエヴァ *1

好評のため、開館時間を1時間延長! 


これまで18万人以上が観賞、1月だけでも1日平均3400人(週末が混雑)。 美術館によると、平日午後4時以降の入場 および 入り口の待ち時間をはぶくため、前もってチケットのオンライン入手がお勧め。

(詳しくは末尾の開館時間の項をご覧ください)



ドイツル・ネッサンス期最大の芸術家アルプレヒト デューラー(1471-1528)の200点および同時代人の80点に上る作品群で巨匠の幅広い芸術性を確証する展示。絵画、スケッチ画、版画、挿絵入り書物など。この広大な展示では、デューラーと並ぶ国内およびオランダ、イタリアの画家たちの作品との比較を通して、彼の作品がこの歴史的な背景のもとに生まれたことをテーマとしている。そのための補完として、デューラーの先人や同時代人たちの作品も展示され、非常に参考になる観賞を楽しむことができる。

時代の脈絡をたどるというコンセプトによって、鑑賞者はデューラーの創造力と芸術的な能力を認めるだけでなく、デューラーが北ヨーロッパにおけるルネッサンス芸術の成立に強く関わっていることも確認することができる。展示作品はロンドン・ナショナル ギャラリー、マドリッド・プラド美術館、ワシントン・ナショナル ギャラリー、パリ・ルーヴル美術館、ロンドン・ブリティッシュ ミュージアム、ベルリン・州立博物館、フィレンツェ・ウフィツィ美術館、アムステルダム・国立美術館、ロスアンジェルス・ゲッティ ミュージアム、その他から集められた。世界中からこれだけ多くの収蔵品がまとまった美術展には、稀にしか出会うことはできないだろう。スポンサーには6社の企業および2カ所の財団が名を連ねている。

シュテーデル美術館はすでに多くの中世後期~近世初期の大きな美術展を開いてきた。カルト絵画(2006)、ハンツ バルドゥンク グリーン(2007)、クラナッハ(2007/08)、フレマッレ(ベルギーの町)のマイスターとロジャー ファン デァ ヴァイデン(208/09)、さらにボッティチェリ(2009/10)が一連のシリーズで、今回のデューラー展がそれに続いているが、時代背景まで考慮し、美術史の流れとの関連性を持たせたことは初めての試みだ。デューラーの斬新的な芸術手法、理論研究、そして作品の巧妙な販売戦略などをもって、彼は当時ヨーロッパで最も大きな影響を与えた芸術家といえる。言わば、デューラーのすべてがわかる展示といっても言い過ぎではないだろう。

1471年にニュルンベルクで生まれ、金細工師であり、画家であったデューラーはさまざまな芸術ジャンルを通して強力なコネをもっていた。板絵、肖像画、木版画、銅版画などの手法を使った作品で商人、貴族、皇帝を顧客にもち、ガラス画、壁画、彫刻、金細工なども手がけていった。自然と人間を研究し、理論的にもさまざまなテーマを扱って書物にまとめることも多かった。北部イタリアとオランダに滞在し、芸術の幅を広げ、顧客層も広り、妻と母親も作品の販売を担当、展示販売市をも企画・実行した。デューラーひとりだけでは手が回らなくなったので工房に芸術職人を入れて弟子とし、独自のコピーライトを導入、遠隔地を回る貿易商人に作品を託して販路を広げていった。

太鼓打ちと笛吹き *2
デューラーはマラリアに罹り、1528年に57歳で亡くなった。シュテーデル美術館におけるこの大デューラー展は2つの階にわたって展示面積1000平方メートル、作品群はテーマに従って14の部屋に分けられ、美術史の脈絡の中におけるデューラーの生涯がわかりやすくまとめられている。展示は初期作品から始まり、金細工師としての職人業と家族の関係がテーマで、特に以下の2作品が初期のデューラー作品とされる: 「懺悔する聖ヒエロニムス」(1497年頃、ロンドン・ナショナル ギャラリー)および
「デューラーの母親」(1490年頃、ニュルンベルク・ゲルマン ナショナル博物館)。

続いて貴族や庶民からの委託作品の展示は、デューラーの名望を示している:「太鼓打ちと笛吹き」(1503/05年頃、ケルン・ヴァルラフ リヒャルツ美術館)や「悲しみの聖母マリア」(1495/48年頃、ミュンヒェン・アルテ ピナコテーク)。
展示全体を通して見られる木版画シリーズ「アポカリプセ(ヨハネ黙示録)」(1498/1511、シュテーデル美術館蔵)は精密な技術による手法の進展を見せている。

次のテーマ「人体と測定」「イタリア」 - デューラーが理想とした体型描写の釣り合いおよび旅行によるイタリア芸術との遭遇による結果の作品。「ドレスデンのスケッチ画帳」(1507-19/23、ドレスデン・ザクセン大学図書館)はデジタル化された観賞法によって全ページをヴィジュアルに見ることができ、後世に人体の描画法研究を残すこととなった作品。この描画をもとに作られた人形が並展されている。

続く多くのポートレート作品はデューラーが生涯をかけて描き続けたテーマであり、精細で完成度が高く、モデルの人間性を適格に表現している。
16世紀初頭につくられたデューラーの工房からの作品は下の階にまとめられ、デューラーと一緒に仕事をした弟子のハンツ バルドゥンク グリーン(1484-1545)、ハンツ ショイフェリン(1480-1540頃)およびハンツ ジュース フォン クルムバッハ(1480-1522頃)が見られる。

ヘラー祭壇画 *3
上階は当展でもハイライトとされる「ヘラー祭壇画」(1507-09頃)で始まる。この板絵はマティス ゴットハルト ニトハルト、通称グリューネヴァルトとの共作によるもので、フランクフルトの裕福なヘラー家のためにつくられた。3枚の画板はフランクフルトのドミニカーナー教会に納められていたが、現在はフランクフルト歴史博物館、州立カールスルーエ美術館およびシュテーデル美術家に分けられて所蔵、当展のために全部が集められた。

上階の次の部屋には、デューラーの特筆すべき作品のひとつ、当展最大の版画(3x.5メートル)「マクシミリアン皇帝のための凱旋門」(1517/18、ブラウンシュヴァイク・アントン ウルリヒ博物館)がある。36枚の紙にプリントされ、部分的に金箔を施し、彩色された大作は芸術史上最大の版画作品のひとつである。

マクシミリアン皇帝のための凱旋門 *4
続いてデューラーのオランダ滞在がテーマで、ドイツを越えて名声高かった芸術家として歓待され、多くの制作注文が舞い込んだ。
(注:ウイーン・ハプスブルク家のマクシミリアン皇帝はブルゴーニュ公姫マリアと結婚し、オランダ、ベルギー地方を継承・統治していた)
アントワープでは「書斎の聖ヒエロニムス」(1521、リスボン・国立美術館)を制作、地元の芸術家たちから称賛され、頻繁に模倣された。それらのヒエロニムス・ヴァリエーションをまとめた一室もある。


メランコリアⅠ *5
その後の巡回路には種々の版画技法が紹介されている - 「騎兵(騎士と死と悪魔)」「メランコリアⅠ」「屋内のヒエロニムス」(いずれも1514頃、シュテーデル美術館)など。唯一保存されている版画用金属板と鉄版画「油山のキリスト」(1515、シュヴァインフルト・オットー シェーファー・コレクション)も貴重な作品だ。

デューラーはまたガラス工芸、書籍挿絵、壁画、彫刻、金細工などでも活動しており、絵画以外での設計画やデザイン(燭台、ニュルンベルク市庁舎大ホール装飾)も紹介される。さらに告知紙(宣伝チラシなど)の挿絵に動物や自然現象などを描き、恐竜画「リノゼロス」(1515、シュテーデル美術館)は記述だけから想像して版画にしたものだが、この絵は当時長い間恐竜のイメージとして定着していた。
展示の最終章はこの天才芸術家の死後にあてられ、彼の作品をモチーフにしたメダル類が大量につくられ、市場に出回ったことは、デューラーが当時の権力者や著名人たちと同等の学識者の地位を与えられたことの証しであった。
館内の通常の展示作品の中で直接デューラーに関係するものには、幅の広い特別展との関連づけの説明ラベルが添えられている。

Dürer.Kunst Künstler-Kontext
2014・2月2日まで
フランクフルト・Städel Museum, Schaumainkai 63, 60596 Frankfurt

開館時間:
火、水、土、日 10-19:00
木、金 10-21:00

月17日より (1時間延長):
火、水、土、日 10-20:00
木、金 10-22:00



カタログ: 400ページ 39.90 ユーロ
展示案内: 44ページ 7.50 ユーロ

オーディオガイド: 4ユーロ

携帯電話用 App (ドイツ語、英語)
無料ヴァージョン: 特別展一般情報
有料ヴァージョン(3.59ユーロ): オーディオツアー(ドイツ語、英語)

入場券つきドイツバーン鉄道3日チケット: Sparpreis Kultur 39ユーロから
1月9日まで予約可能

週末セット旅行: フランクフルト観光局が提供する鉄道、ホテル滞在つきフランクフルトカード 59ユーロから
Tel. 069-2123.0808 / www.frankfurt-tourismus.de



Foto *1
Albrecht Dürer (1471–1528)
Adam und Eva (Der Sündenfall), 1504
Kupferstich, 24,9 x 19,2 cm
Städel Museum, Frankfurt am Main, Graphische Sammlung
Foto: Städel Museum - U. Edelmann - ARTOTHEK


Foto *2
Albrecht Dürer (1471–1528)
Trommler und Pfeiffer, um 1503/05
Lindenholz, 94 x 51,2 cm
Köln, Wallraf-Richartz-Museum & Fondation Corboud
© Rheinisches Bildarchiv Köln, rba_c005674


Foto *3
Albrecht Dürer (1471–1528)
Der Heller-Altar im geöffneten Zustand, 1507-1509
Tannenholz
historisches museum frankfurt
Foto: Horst Ziegenfusz
© historisches museum frankfurt


Foto *4
Albrecht Dürer (1471–1528)
Ehrenpforte für Kaiser Maximilian I, 1517-1518
Holzschnitt, teilvergoldet und altkoloriert, 350 x 300 cm
Herzog Anton Ulrich-Museum Braunschweig, Kunstmuseum des Landes
Niedersachsen
Foto: Museumsfotograf
© Herzog Anton Ulrich-Museum Braunschweig, Kunstmuseum des Landes
Niedersachsen

Foto *5
Albrecht Dürer (1471–1528)
Melencolia I (Die Melancholie), um 1514
Kupferstich, 24,2 x 18,9 cm
Städel Museum, Frankfurt am Main
Foto: Städel Museum – ARTOTHEK